こんにちは。
うつわと道具や ころは です。
当店では、「作家のうつわ」を主に取り扱っていますが、
「作家のうつわ」は「市販のうつわ」と何が違うの?と
疑問に思ったことはありませんか?
近年では、当店のように「作家のうつわ」を扱うお店が増えたような気がします。
また、雑誌やメディアでも大きく取り上げられたり、大手企業もコラボして新商品を出したりと「作家のうつわ」が注目されています。
インテリアショップや雑貨屋さんで、普通に「作家のうつわ」を見れる機会が増えましたよね。
少し昔は、「作家のうつわ」というとちょっと敷居の高いうつわ屋さんやギャラリーでしか目にすることがなかったと思います。
今はネットショップでも簡単に「作家のうつわ」を買うことができます。
しかし、作家ものは少し値段が高かったり、日常で使うにはもったいないと思って購入を諦める方も多いかと思います。
そこで、「作家のうつわ」は「市販のうつわ」とどう違うのかということを考えてみました。
※「作家(陶芸家)」にはオブジェなどの芸術品を制作する人、
伝統工芸品を作る窯元など様々な「作家(陶芸家)」が存在しますが、
ここでの「作家(陶芸家)」とは、個人で活動し、暮らしの中で使う道具としてのうつわを制作する人達のことを指すこととします。
皆さんが市場、つまりお店で見る時の作家のうつわと市販のうつわの違いを比較してみました。
ここでは分かりやすいように、皆さんがよく使うご飯茶碗を例に挙げてみました。
・市販のご飯茶碗
【価格】100~1500円程度のものが多い。
【外見】全く同じ形、同じ絵柄のものが沢山ある。
白い磁器土のものが多く、丈夫で割れにくい。
【使用方法について】電子レンジや食洗機の使用が可能なものが多い。
・作家のご飯茶碗
【価格】2000~3000円程度のものが多い。
【外見】同じものでも模様が少し違ったり、色合いが違うものがある。
または一点ものである。
形も持ってみると手にしっくりするものや大きかったり小さいものがある。
【使用方法について】電子レンジや食洗機の使用が不可のものがある。
この様に比べてみると、作家のうつわは価格は高めで、使用方法に制限があることが多いです。
逆に市販のうつわは安くて丈夫で、割れてもまた同じものを買うことができます。
これだけを見ると、「市販のうつわの方が安くて使いやすいから市販の方がいいんじゃない?」と思われるかもしれません。
では、なぜ作家のうつわが注目され、人気があるのでしょう?
その大きな違いは、製造過程の違いから考えられると思います。
・市販のうつわの製造過程
メーカーや製陶所が製造しているうつわは、現在はほとんどが機械生産です。
焼成もラインで自動成形されたうつわがトンネル状の窯に流れ、そのトンネルを通っている間に焼成が完了しています。
人の手がほとんど加わらなくてもあっという間に製品が大量生産されるという訳です。
(もちろん、今も手作業を大事にしているメーカーや製陶所もありますが、多くのスタッフが制作に関わっています)
・作家のうつわの製造過程
作家は基本的にデザイン・制作・販売までを全て一人で行っています。
作家によってはアシスタントを雇ったり、夫婦や共同で制作する人もいますが、ほとんどの作家が一人で全てを行っています。
成形は全て手作業で一つ一つ制作し、ある程度の量と種類が出来たら窯で焼成をします。
窯の種類や焼成方法によりますが本焼成で10~15時間程度かかります。
昔ながらの薪窯を使う作家もいますが、その場合は最低でも三日三晩窯に薪をくべ続けます。
また、陶芸は工程の多い制作手法であることから、制作を始めてうつわが出来上がるまで最低でも2~3カ月はかかります。
このような製造工程の違いから、作家が一つのご飯茶碗を作るのに、結構な時間がかかるということが分かると思います。
一つのうつわに対する価格が高くなるのもこういった理由からです。
そして、なによりも作家のうつわが魅力的であるのは、
そのうつわがその作家にしか作れない唯一無二のものであるということです。
作家自身の思想、センス、思いが全て形や色に表れます。
それは、非常に手間のかかることであったり、機械では作れない形であったりします。
そこにオリジナリティを感じ、共感する部分を見つけることで好きな作家のうつわと出会うことができるのです。
作家は展示会やイベントで直接販売することも多いです。
どんな人が作っているのかと知るだけで、使う時にそのうつわに対する愛着も増すのではないでしょうか。
少しずつ違う色合いや形であっても、それは世の中に一つだけのものです。
ぜひ、色んな作家のうつわを見て、自分が共感する好きな作家を見つけてみてくださいね。
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